母と2人で上野の美術館まで写真展を観に行った。
私の前々回の勤め先みたいなもの。
この写真展の業務を3年間やっていたのだ。
行けば誰か知り合いに会えるだろうと思っていた。
どうせみんなでタムロしているんだろう、と。
予想に反して知り合いの写真家には誰一人会えなかった。
さらに展覧会自体の質が落ちていることにショックを受けた。
昔が懐かしい。
私がいた頃は、不必要なほど写真家たちが集まり、展覧会会期中は毎日飲みに繰り出し、サークル的な雰囲気で楽しかったのにな。

展覧会と写真家協会の状況に落胆しつつも、気を取り直して母と食堂に向かった。
美術館の食堂は混んでいたので文化会館の食堂へ。
食後のコーヒーを飲んでいたら2コ隣りのテーブルの様子がおかしい。
ウエイターさんが床にしゃがんで何かしている。
「コンタクトでも落したんじゃない?」と母。
特に気にせずにコーヒーを飲んでいたが、どうも妙な気配が立ち込めている。
人が倒れたようだった。
数分後、救急車の到着。
人口呼吸、心臓マッサージが行われるも、その甲斐は無かったようだ。
私の座席からはちょうどテーブルが死角になって救急隊の動きしか見えなかったのが幸い、かな。
誰一人席を立つ人はいなかった。
周囲は硬直しつつも現実逃避の世界って感じ。
ウエイトレスさんは倒れている人を避けてその横のテーブルの人にハヤシライスを運んでいた。ごく普通に。
隣りのテーブルの人なんて目前だからな、食えないだろう…
でもこんな時、誰も何も出来ないんだよね。
救急隊員の活動の横で奥さんらしい人と最初にいたウエイターさん1人がしゃがみ込んだまま放心状態。
その空間を除けば一見、何事も無い感じ。
騒ぐ人もなく、みんな一様に息を潜めている。

元気に食事に来たであろう人があっという間に…
なんとも言えない感覚。
初めてリアルタイムで人が亡くなる瞬間を見た母はかなりショックを受けたようだ。
私、3人目。

BGM 『GREATEST KISS』(KISS)

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